写真の上に何も載せなくても、その写真が自分のものだと示すことはできます。著作権メタデータは、画像ファイルの中に保存されるテキストです。名前、著作権表示、クレジット表記、利用条件へのリンクなどが入ります。ファイルと一緒に移動し、画像そのものはきれいなまま。EXIF、IPTC、XMPを読めるツールなら表示できます。ただし限界もあります。誰でも削除できますし、多くのWebサイトはアップロード時にメタデータを消してしまいます。目に見える透かしはその逆で、見落とされにくい代わりに写真そのものが変わります。この記事では両者を比べ、組み合わせて使う方法を紹介します。
見えない印の正体
JPEG、HEIC、PNG、TIFFのファイルには、画素データとは別にテキストを入れる領域があります。著作権情報をどこに書くかは、3つの規格が定めています。
- EXIF:カメラやスマートフォンが書き込む形式です。Copyrightタグは0x8298、Artistタグは0x013Bです。詳しくはEXIFのCopyrightタグをご覧ください。
- IPTC IIM:報道機関やエージェンシー向けの古い形式です。Copyright Notice(著作権表示)は2:116、By-line(作成者)は2:80、Credit(クレジット表記)は2:110、Source(提供元)は2:115です。
- XMP:より新しく柔軟な形式です。著作権表示には
dc:rights、作成者にはdc:creator、クレジット表記にはphotoshop:Creditを使い、xmpRightsの各フィールドに権利に関するWebページ、使用条件、著作権の状態を示すフラグを入れます。
これらのフィールドを合わせると、誰が撮ったのか、誰が権利を持つのか、どうクレジットすればよいのか、使いたいときにどこへ問い合わせればよいのかがわかります。どれも写真の上には表示されません。情報パネルやファイルの詳細表示、チェッカーで確認するものです。
メタデータが透かしより優れている点
写真を損なわない
透かしは画像の一部を覆います。隅に入れればトリミングで簡単に消され、中央に入れれば、見てほしいクライアントも含めて誰にとっても写真が台無しになります。メタデータは画素に一切触れません。良いツールなら画像を再エンコードせずに書き込むので、写真の見た目はまったく変わりません。
より多くの情報を持てる
透かしに入るのはたいてい名前かロゴだけです。メタデータなら、著作権表示の全文、作成者名、写真の下に載せるクレジット表記、ライセンス条件、権利についてのページへのリンクまで持たせられます。写真編集者やストックフォトの購入者は、あなたに連絡しなくてもそのすべてを読めます。
ソフトウェアが読み取れる
写真編集ソフト、デジタルアセット管理システム、エージェンシーのシステムはこれらのフィールドを読み取り、表示します。一部の検索エンジンも読み取ります。たとえばGoogleは、画像検索でCreator、Credit Line、Copyright Notice、Web Statement of RightsといったIPTCフィールドに対応していると公表しています。透かしは人間にしか読めません。
あとから変更できる
Webサイトを移転したり屋号を変えたりしても、アーカイブ全体のメタデータを更新できます。書き出したファイルに焼き込んだ透かしは、そのまま残ります。
目に見える透かしのほうが優れている点
メタデータには現実的な弱点があり、はっきり把握しておくことが大切です。
- 簡単に削除できる。スクリーンショットには何も残りません。多くの編集・書き出しツールでは、設定ひとつで削除できます。
- Webサイトが削除することがある。多くのプラットフォームは、写真のアップロード時にメタデータの一部または全部を削除し、その扱いも時とともに変わります。確実に知るには、自分が投稿する場所で試すしかありません。
- 偶然目に入ることはない。見る人が情報パネルを開かなければ見つかりません。透かしは見るすべての人に届きます。
どちらの方法も、本気でコピーしようとする人を止めることはできません。透かしはトリミングや修正で消せますし、メタデータは削除できます。法的にメタデータが何をし、何をしないのかについては、メタデータで著作権は守られるのかをお読みください。これは一般的な情報であり、法的助言ではありません。
両方を組み合わせる
どちらかを選ぶ必要はありません。多くの写真家は、それぞれが効果を発揮する場面で使い分けています。
- すべての写真にメタデータを刻印する。元データにも書き出したファイルにも、著作権表示、名前、クレジット表記を入れます。見た目には何も影響しないので、空欄のまま残す理由はありません。
- 透かしは低解像度のプレビューだけに入れる。校正用ギャラリー、SNSの投稿、ポートフォリオのサンプルは、目に見える印が役立つ場面です。小さく、いつも同じデザインにしましょう。
- クライアントには透かしなしの刻印済みファイルを納品する。料金を払うクライアントは、ふつう透かしのない写真を求めます。それでもメタデータが撮影者を示してくれます。
- 何が残るかを確認する。公開先ごとにテスト用の写真をアップロードし、ダウンロードし直して、何が残っているかを見ます。
各フィールドに何を入れるか
値は短くし、3つのレイヤーすべてで揃えます。シンプルな例は次のとおりです。
- 著作権表示(EXIF Copyright、IPTC 2:116、XMP
dc:rights):© 2026 Jane Doe. All rights reserved. - 作成者(EXIF Artist、IPTC 2:80、XMP
dc:creator):Jane Doe - クレジット表記(IPTC 2:110、XMP
photoshop:Credit):Jane Doe Photography - Web上の権利声明(XMP
xmpRights:WebStatement):ライセンスについてのページへのリンク。 - 使用条件(XMP
xmpRights:UsageTerms):「ライセンスについてはWebサイトをご覧ください」のような簡潔な一文。
作成者と著作権者が別人のこともあります。たとえば写真家がエージェンシーや雇用主のために撮影する場合です。その場合のフィールドの埋め方は作成者と著作権者の違いで解説しています。
手間をかけずにライブラリ全体へ刻印する
これらのフィールドを1ファイルずつ書き込むのは大変です。Copyrightedは、フォルダや写真ライブラリの著作権メタデータを読み取り、写真を所有者ごとに「Matches you」(あなたと一致)、「Third-party」(第三者)、「Blank」(空欄)、「Conflicting」(矛盾あり)の4つのグループに分け、保存したプロファイルを使ってグループ全体を一度に刻印します。3つのレイヤーすべてに同じ内容を、画像を再エンコードせずに書き込み、どのバッチも「History」(履歴)から取り消せます。写真ライブラリの写真については、刻印済みのコピーを「Copyrighted」アルバムに保存し、オリジナルには手を付けません。iPhone、iPad、Macの端末上で動作し、アカウントは不要です。
1枚の写真にすでに何が入っているかを見るには、無料の著作権チェッカーにドロップしてください。ファイルはブラウザ内で読み取られ、何もアップロードされません。
チェックリスト
- 著作権表示と作成者名をひとつに決め、どこでも同じものを使う。
- 著作権表示、作成者、クレジット表記をEXIF、IPTC、XMPに入れ、レイヤー同士を一致させる。
- Web上の権利声明のリンクと、短い使用条件の一文を加える。
- 透かしは低解像度のプレビューとSNSの投稿だけにする。
- 料金を払うクライアントには、透かしなしの刻印済みファイルを納品する。
- 使うプラットフォームごとに、アップロードしてダウンロードし、何が残るかを確かめる。
- メタデータも透かしも、それだけではコピーを防げないことを忘れない。