写真アーカイブ全体に著作権メタデータを安全に追加するには、次の順番で進めます。バックアップを取る、すでに入っている内容を読み取る、矛盾を意識的に解消する、無劣化で書き込めて取り消しもできるツールで刻印する、そして結果を確認する。RAWファイルには特別な注意が必要です。安全にラベルを付けるには、RAWの隣に置くXMPサイドカーファイルを使うからです。一括編集は何千ものファイルに一度に手を加えるので、小さなミスも何倍にもなります。この記事では、各ステップと注意すべき落とし穴を順に説明します。
ステップ1:まずバックアップ
どのツールを使うにしても、メタデータを一括で変更する前には必ずバックアップを取りましょう。慎重に作られたツールはリスクを下げてくれますが、それでも何か問題が起きたとき、バックアップがあれば元に戻せます。
- アーカイブ全体のコピーを別のドライブに作り、開けることを確かめる。
- サイドカーはRAWファイルと一緒に保管する。
.CR3や.NEFのファイルだけで.xmpサイドカーのないバックアップでは、編集内容やラベルが失われています。 - 日付を記録する。数週間後に問題が見つかったとき、変更前のバックアップがどれかを知りたくなるはずです。
アーカイブが写真ライブラリにある場合も、バックアップはしておくほうが賢明ですが、リスクは低めです。アプリは写真ライブラリのオリジナルのメタデータを元のファイルに直接書き換えることができないため、ツールは新しいコピーを保存する必要があるからです。
ステップ2:すでに入っている内容を読み取る
古いアーカイブがまっさらなことはめったにありません。カメラは一度設定すれば独自の著作権テキストを書き込みますし、編集ソフトは書き出し時に表示を加えます。友人、クライアント、エージェンシーからの写真には、それぞれの著作権者の情報が入っています。何かを刻印する前に、手元に何があるかを把握しましょう。アーカイブを4つの山に分けます。
- 自分のもの:すでに自分の著作権表示が入っている。そのままにするか、情報が変わっていれば更新する。
- 第三者のもの:他人の著作権表示が入っている。手を付けない。
- 空欄:著作権表示も作成者も入っていない(クレジット表記だけのものも含む)。刻印すべきなのはこれ。
- 矛盾あり:1つのファイル内でレイヤー同士の内容が食い違っている。判断が必要。
1つのファイルなら、無料の著作権チェッカーで、何もアップロードせずにブラウザ内で全レイヤーを確認できます。アーカイブ全体を扱うには、すべてのファイルを読み取って結果をグループ分けできるツールが必要です。
ステップ3:レイヤーの矛盾を理解する
写真は著作権情報を最大3か所、EXIF、IPTC、XMPに保存します。矛盾とは、そのうち2つの内容が食い違っていることです。たとえばEXIFのCopyrightタグには以前のスタジオ名が、XMPのdc:rightsには現在の名前が入っている、といった状態です。あるソフトがひとつのレイヤーだけを更新し、ほかを元のままにしたときによく起こります。
ソフトによって最初に読むレイヤーが違うため、矛盾のあるファイルは見る人によって違うことを伝えてしまいます。矛盾はひとつずつ意識して解消しましょう。どの値が正しいかを確かめてから、すべてのレイヤーを同じ内容にします。よくある原因は著作権メタデータの矛盾で解説しています。
ステップ4:書き込み方を選ぶ
不足分の追加か、更新か
刻印には便利な方法が2つあります。「Add missing」(不足分を追加)は空のフィールドだけを埋め、既存の値は決して変えません。第三者の著作権表示を上書きするおそれがないので、さまざまな写真が混在するアーカイブには安全な選択です。「Update」(更新)はすべてのレイヤーをプロファイルと同じ内容にします。自分の情報が変わったときに自分の写真に使うか、確認済みの矛盾を解消するときに使いましょう。
JPEG、HEIC、PNG、TIFFは無劣化で書き込む
メタデータを書き込むときに、画像を再エンコードしてはいけません。JPEGをデコードして保存し直すツールは、そのたびに少しずつ画質を落とします。画像データは変更せずにコピーし、メタデータだけを置き換えるツールを選びましょう。一時ファイルに書き込み、新しいファイルを読み戻して、内容が一致したときだけオリジナルを置き換えるのが理想です。
RAWにはサイドカー
RAW形式はメーカー独自のもので、その中に書き込むのは危険です。標準的なやり方はXMPサイドカーファイルです。RAWと同じ名前で拡張子が.xmpの小さなテキストファイルを、RAWの隣に置きます。RAW本体は書き込みのために開かれることはありません。Lightroom Classicなどの現像ソフトはサイドカーを使いますが、ほかのツールで加えた変更をお使いのソフトがどう取り込むかは確認してください。指示しないとサイドカーを読み込まないソフトもあります。詳しくはRAWファイルとXMPサイドカーをご覧ください。
その結果として、RAWに埋め込まれたEXIFはカメラが書き込んだまま残ります。カメラが別の著作権情報を書き込んでいた場合、ファイルとサイドカーの内容は食い違い、注意深いビューアはそれを矛盾として表示します。
ステップ5:取り消せるバッチ単位で刻印する
小さく始めましょう。まず1つのフォルダに刻印して確認し、それから残りに進みます。元に戻せるよう、各バッチの記録を残しておきます。
Copyrightedは、この手順を前提に作られています。フォルダや写真ライブラリをスキャンし、写真を「Matches you」(あなたと一致)、「Third-party」(第三者)、「Blank」(空欄)、「Conflicting」(矛盾あり)に振り分けます。自分の情報を一度プロファイルとして保存したら、Add missing、Update、「Remove」(削除)のいずれかでグループに適用します。各ファイルについて、アプリは次のように動きます。
- 何かを変更する前に、ファイルに入っていた内容をジャーナルに記録する。
- スキャン後に変更されたファイルには書き込まない。
- JPEG、HEIC、PNG、TIFFは再エンコードせずに元のファイルに直接書き込み、RAWとDNGにはXMPサイドカーを使う。
- 結果を読み戻し、一致した場合にだけオリジナルを置き換える。
- 失敗したファイルは飛ばして先に進み、最後に報告する。
各バッチは「History」(履歴)に表示され、取り消せます。写真ライブラリの写真は刻印済みのコピーが「Copyrighted」アルバムに保存され、オリジナルには手が加わりません。例外は、オリジナルを削除するアプリのオプションをオンにした場合で、その場合もコピーの検証が済んでから削除します。Add missingは矛盾のある写真を飛ばして該当フィールドを示すので、矛盾がうっかり解消されてしまうことはありません。知っておきたい制限がひとつあります。アプリは常にレイヤーを一致させて書き込むため、解消した矛盾を取り消しで元に戻すことはできません。その写真は報告され、バッチの残りは通常どおり取り消されます。アプリはiPhone、iPad、Macの端末上で動作し、アカウントは不要です。刻印済みの写真50枚までは無料で、Proにすると上限がなくなります。
ステップ6:あとで確認する
バッチが終わったら、書き込んだツールとは別の手段で確認しましょう。
- 刻印したファイルをいくつかチェッカーで開き、すべてのレイヤーに新しい値が入っていることを確かめる。
- RAWを現像ソフトで開き、サイドカーの著作権情報が表示されることを確かめる。
- フォルダをもう一度スキャンし、Blankグループが想定どおり減ったことを確かめる。
- Third-partyグループを見て、何も変わっていないことを確かめる。
問題が見つかったら、バッチを取り消し、プロファイルを直してもう一度実行します。
チェックリスト
- サイドカーも含めた完全なバックアップを取り、開けることを確かめる。
- アーカイブをスキャンし、自分のもの、第三者のもの、空欄、矛盾ありに分ける。
- どの値が正しいかを確かめてから、矛盾をひとつずつ意識して解消する。
- 混在したフォルダにはAdd missingを使い、Updateは自分の写真だけに使う。
- 無劣化で書き込み、各ファイルを置き換える前に読み戻して確認する。
- RAWファイルにはXMPサイドカーでラベルを付け、サイドカーを一緒に保管する。
- まず1つのフォルダに刻印して確認し、それから続ける。
- どのバッチも取り消せる状態に保ち、別のツールで結果を確認する。